2017年6月30日金曜日

安比高原のオミナエシ

 
童話 気のいい火山弾 より
 
はじめは仲間の石どもだけでしたが
あんまりベコ石が気がいいのでだんだんみんな馬鹿にし出しました。
 
おみなえしが、斯う云いました。
「ベコさん。僕は、とうとう、黄金のかんむりをかぶりましたよ。」


安比高原のリンドウ


童話 銀河鉄道の夜 より

線路のへりになったみじかい芝草の中に、
月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんどうの花が
咲いていました。

「ぼく、飛び下りて、あいつをとって、また飛び乗ってみせようか。」
ジョバンニは胸を躍らせて云いました。

「もうだめだ。あんなうしろへ行ってしまったから。」
カムパネルラが、そう云ってしまうかしまわないうち、
次のりんどうの花が、いっぱいに光って過ぎて行きました。

安比高原の木いちご

 
童話 グスコーブドリの伝記 より
 
ブドリにはネリという妹があって、二人は毎日森で遊びました。
 
ごしっごしっとお父さんの樹を鋸く音が、
やっと聴こえるくらいな遠くへも行きました。
 
二人はそこで木苺の実をとって湧水に漬けたり、
空を向いてかわるがわる山鳩の啼くまねをしたりしました。

安比高原のクルミ

 
童話 風の又三郎
 
どっどど どどどど どどどど どどう、
青いくるみも吹きとばせ
 すっぱいかりんもふきとばせ
 どっどど どどうど どどうど どどう

・・・・・・

「又三郎って高田さんですか。
ええ、高田さんはきのうおとうさんといっしょにもうほかへ行きました。
日曜なのでみなさんにご挨拶するひまがなかったのです。」

「先生飛んで行ったのですか。」嘉助がききました。

安比高原のウメバチソウ

 
童話 鹿踊りのはじまり より
 
 「こいづば鹿さ呉でやべか。それ、鹿、来て喰」
と嘉十はひとりごとのように言って、
そ れをうめばちそうの白い花の下に置きました。
 
それから荷物をまたしょって、
ゆっくりゆっくり歩きだしました。

安比高原のハクサンシャクナゲ


童話 ビジテリアン大祭より

その式場を覆う灰色の帆布は、
黒い樅の枝で縦横に区切られ、
所々には黄や橙の石楠花の花をはさんでありました。

何せそう云ういい天気で、帆布が半透明に光っているのですから、
実にその調和のいいこと、もうこここそやがて完成さるべき、
世界ビジテリアン大会堂の、陶製の大天井かと思われたのであります。

向こうには勿論花で飾られた高い祭壇が設けられていました。

安比高原のアザミ

 
童話 蜘蛛となめくじと狸 より

「かたつむりさん。気分がよくなったら一つ相撲をとりま しょうか。ハッハハ。久しぶりです。」
となめくじが云いました。

「おなかがすいて力がありません。」とかたつむりが云いました。

「そんならたべ物をあげましょう。さあ、おあがりなさい」
となめくじはあざみの芽やなんか出しました。

安比高原のシロツメクサ

 
童話 蛙のゴム靴 より
 
ある夏の暮れ方、
カン蛙ブン蛙ベン蛙の三疋は、
カン蛙の家の前のつめくさの広場に座って、
雲見ということをやっておりました。
 
一体蛙どもは、みんな、夏の雲の峯を見ることが大すきです。
 
じっさいあのまっしろなプクプクした、
玉髄のような、玉あられのような、
又蛋白石を刻んでこさえた葡萄の置物のような雲の峯は、
誰の目にも立派に見えますが、
買えるどもには殊にそれが見事なのです。

2017年6月29日木曜日

安比高原の鈴蘭

 
宮沢賢治 貝の火 より
 
子兎のホモイは悦んでぴんぴん踊りながら申しました。

 「ふん、いい匂だなあ。うまいぞ、うまいぞ、鈴蘭なんかまるでパリパリだ。」
風が来たので鈴蘭は、葉や花を互いにぶっつけて、しゃりんしゃりんと鳴りました。
ホモイはもう嬉しくて、息もつかずにぴょんぴょん草の上をかけ出しました。

安比高原の白樺

 
宮沢賢治 かしわばやしの夜 より
 
清作は、さあ日暮れだぞ、
日暮れだぞと云いながら、
稗の根もとにせっせと土をかけて いました。
そのときはもう、
銅づくりのお日さまが、南の山裾の群青いろをしたとこに落ちて、
野はらはへんにさびしくなり、
白樺の幹などもなにか粉を噴いているようでした。

安比高原のマユミの木


宮沢賢治 過去情炎 より

なにもかもみんなたよりなく

なにもかもみんなあてにならない

これらげんしょうのせかいのなかで

そのたよりない性質が

こんなきれいな露になったり

いじけたちいさなまゆみの木を
紅からやさしい月光いろまで
豪奢な織物に染めたりする

安比高原のクロモジ

 
 
童話 なめとこ山の熊 より

風があっちへ行くな行くなと思いながら
そろそろと小十郎は後退りした。

くろもじの木の匂が
月のあかりといっしょにすうっとさした。

2017年6月27日火曜日

安比高原のゼンマイ

 
童話 雁の童子 より
 
童子さまの脳はもうすっかり疲れて、
白い網のようになって、
ぶるぶるゆれ、
その中に赤い大きな三日月が浮かんだり、
そのへん一杯にぜんまいの芽のようなものが見えたり、
 
また四角な変に柔らかな白いものが、
だんだん拡がって恐ろしい大きな箱になったりするのでございました。
 
母さまはその額が余り熱いといって心配なさいました。

安比高原のコブシ

 
宮沢賢治 こぶしの咲き より
 
こぶしの咲ききれぎれに
雲のとぶ
この巨きななまこ山のはてに
赤い一つの擦り傷がある
それがわたくしも花壇をつくっている
花巻温泉の遊園地なのだ

安比高原のオキナグサ

 
宮沢賢治 おきなぐさ より
 
私は考えます。
なぜひばりはうずのしゅげの銀毛の飛んで行った
北の方へ飛ばなかったか、
 
まっすぐに空の方へ飛んだか。


安比高原の山桜

 
宮沢賢治 小岩井牧場 より

すきとおってゆれているのは
さっきの剽悍な四本のさくら

わたくしはそれを知っているけれども目にははっきり見ていない

たしかにわたくしの感官の外でつめたい雨がそそいでいる
 (天の微光にさだめなく  うかべる石をわがふめば
  おおユリア しずくはいとど降りまさり  カシオペーアはめぐり行く)

安比高原のニワトコ


童話 貝の火 より

ホモイは何だか嬉しいようなおかしいような気がして
ぼんやり考えながら、
にわとこの木の陰に行きました。

するとそこに若い二疋の栗鼠が、
仲よく白いお餅を食べて居りましたが
ホモイの来たのを見ると、びっくりして立ちあがって
急いできもののえりを直し、
目を白黒させて餅をのみ込もうとしたりしました。

安比高原のブナ


童話 虔十公園林 より

風がどうと吹いて
ぶなの葉がチラチラ光るときなどは
虔十はもううれしくてうれしくて
ひとりでに笑えて仕方ないのを、
無理やり大きく口をあき、
はあはあ息だけついてごまかしながら

いつまでも
いつまでも
そのぶなの木を
見上げて立っているのでした。

安比高原の水芭蕉

 
童話 タネリはたしかにいちいち噛んでいたようだった より
 
丘のうしろは、小さな湿地になっていました。
そこではま っくろな泥が、
あたたかに春の湯気を吐き、
そのあちこちには青じろい水ばしょう、牛の舌の花が、
ぼんやりならんで咲いていました。

タネリは思わず、また藤蔓を吐いてしまって、
勢いよく湿地のへりを低い方へつたわりながら、
その牛の舌の花に、
一つずつ舌を出して挨拶してあるきました。

安比高原のネコヤナギ


童話 おきなぐさ より
そんならうずのしゅげとはなんのことかと言われても
私にはわかったようなまたわからないような気がします。

それはたとえば私どもの方で、ねこやなぎの花芽を
べんべろと言いますが、
そのべんべろがなんのことかわかったような
わからないような気がするのと全くおなじです。

安比高原のカタクリ

 
童話 おきなぐさ より
 
まっ赤なアネモネの花の従兄、
きみかげそうやかたくりの花のともだち、
このうずのしゅげ の花を
きらいなものはありません。
ごらんなさい。
この花は黒繻子ででもこしらえた変り型のコップのように見えますが、
その黒いのはたとえば葡萄酒が黒く見えると同じです。
 

安比高原のやどりぎ

 
童話 水仙月の四日 より
 
雪童子は、風のように象の形の丘にのぼりました。

雪には風で介殻のようなかたがつき、
その頂には、一本の大きな栗の木が、
美しい
黄金いろの
やどりぎのまりをつけて立っていました。

安比高原のほほの木

 
 
童話 雪渡り より
 
そして三人は踊りながら
だんだん林の中にはひって行きました。
 
赤い封蝋細工のほほの木の芽が、
風に吹かれてピッカリピッカリと光り、
林の中の雪には色の木の影が
いちめん網になって落ちて日光のあたる所には
銀の百合が咲いたやうに見えました。


安比高原のさるのこしかけ




童話 さるのこしかけ より

楢夫は自宅裏の栗の木に、
白いきのこ「さるのこしかけ」が
3つ生えているのを見つけた。

これに座る猿はずいぶん小さいだろうと楢夫が考えていると
そこに三匹の猿が現れる。

軍服を着て勲章を付けた一匹は
60歳の陸軍大将だと名乗り、楢夫を尋問するように話しかけた。

安比高原のオミナエシ

  童話 気のいい火山弾 より   はじめは仲間の石どもだけでしたが あんまりベコ石が気がいいのでだんだんみんな馬鹿にし出しました。   おみなえしが、斯う云いました。 「ベコさん。僕は、とうとう、黄金のかんむりをかぶりました...